そんなA氏は父親に憧れ、若いころから芸能活動を開始したが、俳優としてはヒット作に恵まれず、鳴かず飛ばずだった。それが、数年前に猿之助に見初められてから、歌舞伎の舞台で重要な役に抜擢されるようになったという。父親もA氏も、猿之助の舞台に上がった経験がある。
はたして、猿之助とAさんとの関係は「週刊文春」に書かれた通りなのか。実家から出てきた母親に直撃した。
――息子さんのAさんについてお聞きしたい。
「すいません、今、何も話はできませんので」
――「週刊文春」がAさんを直撃したら偽名を名乗り、「おしゃべりするんだったらギャラいただけますか? 100万くらいいただけますか。先払いでお願いします」と答えたと報じていましたが。
「ひどいですよね」
――それは本心からでしょうか。
「違いますよ」
――Aさんと猿之助さんは「恋人関係」にあるとも報じられています。
「とんでもない、誤解です」
――「週刊文春」によれば、猿之助さんの自宅にはAさん宛ての遺書が残されていて、スケッチ用のキャンバスに<愛するA 大好き 次の世で会おうね>、仏壇の前には<Aを養子にし、遺産の全てを相続する>などと相続についての書き置きもあったと報じられました。実際、どうなのでしょうか。
「わからないです。猿之助さんに聞くしかないです」
――Aさんは猿之助さんのマネジャーみたいなことをやっておられたんでしょうか。
「はい、そうですね」
――地方巡業の時には一緒にホテルに泊まったとか。
「それは知らないです。わからないです」
――旦那さんは今、ご在宅ですか。
「今、いないです」
そう言って、母親は自宅の中に入った。
しばらくすると、マスクをした男性がバイクに乗って帰ってきた。
「お父さまですか」と聞くと、「はい」と答えた。
――私も昔、テレビドラマを見てました。ヒット曲も聴いてました。
「あ、はい」
――いろいろと報道されていますが、実際のところ、どうなんでしょうか。
「今、猿之助さんがお話しない以上、こちらは何もお話できませんから」
そう言い残して、母親が開けた玄関の中に入って行った。
松竹は猿之助さんの10月までの公演の休演を発表し、公式HPで現状をこう説明した。
「現在も様々な報道がなされておりますことは弊社としても承知いたしておりますが、依然として事態の解明が途上でございますので、弊社としましてコメントや経緯に関するご説明等は引き続き差し控えさせていただきたく存じます」
病院に搬送される途中で、「家族会議をした」と話したという猿之助。まだ警察による事情聴取が続いているが、密室の中での出来事だけに捜査は難航も予想される。真相解明を待ちたい。
(AERA dot.編集部・上田耕司)