一方、残りの8人のうち6人は、あなたや側近的なリーダーに引っ張られるカタチで、根本的には受動的ではあるのですが、それでも前向きに、十分及第点レベルでは働いてくれるタイプだと捉えてみてください。
このようなフォロワー姿勢の部下については、先ほどの2人に比べると、時間的にも回数的にも多くの支援が必要になります。ですが、効果的な働きかけができれば、自分なりに考え、行動するといった自律的な動きも期待できるのです。
ただ、そうは言っても、日々の忙しさの中ではリソースもリードタイムも限られるため、場合によっては決して「支配」とはならないように配慮しつつ、「支援」ではなく「指示」レベルでとにかくまずは動いてもらわなければならない。
最後に、残った2人については受動的な姿勢を超え、もはや「依存」や「寄生」といったレベルでしか仕事をしようとしません。
隙あらばサボれないか、フリーライド(タダ乗り・おいしい思い)ができないかというスタンスで、会社や組織、同僚や上司であるあなたと関わっている。こうしたフリーライダー的部下については、俗に言う「働かないおじさん」問題で登場するような人物をイメージしてもらえば、ピンとくるのではないかと思います。
大切な認識は、どのような人材を集めてみても、残念ながらこうしたメンバーが決してゼロにはならないという点です。
集団が形成されると、当初は能動的だった人が、最終的には受動的な存在に変貌する。「社会的手抜き」と言われる現象が、現実にはいくらでも起き得てしまう。
これが、「働きアリの法則」が示唆する組織運営の重要な前提なのです。
■フリーライダー的部下を無理に変えようとしない
1つのマインドセットとして、「人は変えられないが、自分自身なら変えられる」という心の構えを紹介しましたが、「働きアリの法則」と組み合わせて考えてみた時に、果たしてこうした前提をどこまで適用したら良いのでしょうか。