上位20%のリーダー的存在については、問題なく前提にして良さそうです。
真ん中の60%についても、こちらの働きかけ次第で、あるいは時間をかけられるのであれば、ある程度は可能だと思います。
一方、下位20%の部下については、果たして「働かないおじさん」が「働くおじさん」へと変貌することを信じて、期待をかけ続けるべきなのでしょうか。
私自身がさまざまなマネジャー職の方々の相談を受ける中で、最も現実的に機能し、後で感謝された回答は次の言葉でした。
「相手をリスペクトしつつ、ケアは最低限に留めて後は放っておきましょう」
正直、明記するメッセージとしてはかなり勇気のいる内容ですが、「これが救いになった」と多くの受講者さんに感謝された事実もあるため、躊躇を超えて言語化してみることにしました。
なぜこの答えが響くのかといえば、マネジャー職の皆さんはとにかく忙しいから。この一点に尽きるのではないでしょうか。
これが実態である以上、全員に、とりわけ、打っても響く見込みのない下位20%の部下に時間やエネルギーを割くことは、やはり現実的ではありません。
部下に充てられる持ち時間がわずかしかないのであれば、自らを変えていく可能性を見出せる方にリソースを投入する。これが合理的な選択です。
●浅田すぐる(あさだ・すぐる)
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。作家・社会人教育のプロフェッショナル。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車(株)入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、(株)グロービスへの転職を経て、2012年に独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。著書に『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版)、『早く読めて、忘れない、思考力が深まる 「紙1枚! 」読書法』(SBクリエイティブ) などがある。