野外でのバーベキューが楽しい季節になった。東京都心に近い多摩川沿いの河川敷には、休日ともなると大勢の人たちが集まってきている。にぎわいの一方、放置されたごみや騒音などが近隣住民を悩ませ、バーベキューを禁止したり、利用料を取ったりする場所が拡大。さらに、自由にバーベキューができる場所で利用者のマナーの悪さが目立つようにもなっているという。現地を歩いた。
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「さすがにこれはひどいですね」
思わず声が出てしまった。
見せられたのは、多摩川の河川敷で撮影された、ごみの写真。ビールの空き缶や花火の燃えかすだけでなく、脚付きの大型バーベキューコンロがひっくり返り、クーラーボックスや段ボールなどがそのまま放置されている。
「ここでバーベキューを楽しんだ後、そっくりそのまま捨てていったように見えます」と、国土交通省京浜河川事務所の藤枝達也副所長は説明する。
このごみを巡視員が見つけたのは、今年のゴールデンウィーク中の5月5日。場所は河口の近くの国交省が管轄する河川敷で、バーベキューなどをするのに特に規制がない場所だという。
「この時期からバーベキューをする人が増えてきて、住民の方からのお叱りの電話が多くなってきます。『ごみが捨てられているので、何とかしろ』と。一方、『どこでバーベキューができるのですか』という問い合わせも増えてきます」
■マナーの悪さが問題に
奥多摩を源とする多摩川は、中流域から東京都と神奈川県の境をなし、羽田空港そばの東京湾にそそぐ。都心に近い貴重な水辺であり、国交省が直轄管理する区域の中には、1キロあたり年間22万7000人が利用する場所もあるという(2014年度の調査による)。
多摩川沿いは、20年ほど前にバーベキュースポットとして雑誌やインターネット上で紹介されてから利用者がどんどん増え、全国でもトップクラスのにぎわいが見られるようになった。