妻 杉浦英恵[46]音楽講師、音楽療法士
すぎうら・はなえ◆1976年、東京都生まれ。国立音楽大学声楽科卒業。2009年から恵泉女学園大学聖歌隊ボイストレーナーを務める。音楽療法士として、主に障がいのある子どもたちの支援を行う。また介護職員として働きながら高齢者に音楽プログラムを提供している
音楽を人の役に立つ仕事につなげたいと思い、28歳で音楽療法士の資格を取りました。
今住んでいるあきる野市(東京都)には、前夫の配属で私も一緒に来ましたが、色々あって結婚生活は孤独でした。SNSの自己紹介の「音楽療法士」という言葉から、やっちゃんが見つけてくれ、そこから仕事も友達の輪も広がり、居場所ができました。離婚を決断するまですごく悩みましたが、一歩踏み出して私の人生は違うルートが開けました。今はむしろ、この地との縁にありがとうと思えます。
今後高齢化社会になるなか、介護業界で働く彼はその道に精通している人。人生をくだる姿を日常で見ているからか、どこか達観しているように見えます。介護福祉の世界は私たちの将来図でもあるし、現場を知るのは大事だと思い、私も介護の仕事を始めました。一見、音楽とは違う世界に見えても、交わるとつながりが見えてくるのが面白いです。音楽って、それぞれの人生に作用する見えない力があると思います。
(構成・桝郷春美)
※AERA 2023年7月10日号