※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 病院に行き外来で主治医にいろいろ聞こうと思っていても、短い診療時間でうまく質問できなかったり、主治医の言葉がわからないまま終わってしまったりしたことはありませんか。短い診療時間だからこそ、患者にもコミュニケーション力が求められます。それが最終的に納得いく治療を受けることや、治療効果にも影響します。今回は、86歳の前立腺がんステージIVの患者が医師から提案されている抗がん剤治療を断りたいと考えています。医師との会話の失敗例、成功例を挙げ、具体的にどこが悪く、どこが良いのかを紹介します。

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 西南学院大学外国語学部の宮原哲教授と京都大学大学院健康情報学分野の中山健夫教授(医師)の共著『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』(朝日新聞出版)から、抜粋してお届けします。

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「失敗例:エピソード1」と、「成功例:エピソード2」を順番に紹介します。

『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』(朝日新聞出版)
『治療効果アップにつながる患者のコミュニケーション力』(朝日新聞出版)

【患者の背景と現状】

 Hさんは86歳の男性で、前立腺がんステージIVの患者です。妻は昨年亡くなりました。長い間サラリーマン生活をし、定年まで仕事一筋でがんばりました。幸い3人の子どもはそれぞれ家庭を持ち、7人の孫と2人のひ孫にも恵まれ、入院前は一人で生活していたHさんを訪れ、にぎやかで楽しい時間を過ごすことができました。

 前立腺がんはかなり進行した状態で見つかったので、手術は困難です。これまで放射線治療を行ってきました。がんの進行をある程度抑えられてはいるものの、今後治療を継続しても根治する可能性があるかは疑問です。

 Hさんは、今かかっている病気以外に特別に健康上の問題があったわけでもなく、仕事にも、結婚生活や家庭にも満足した生活を送ってきました。振り返ってみると幸せな人生だったとHさんはもちろん、周りの人たちも思っています。

 医師からはまだあきらめないで、一日でも長く生きることを目標に治療を継続することを提案されています。一方のHさんは「先生や他の方々には十分がんばってもらったし、自分としてはもう……」という気持ちです。

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医師との会話の失敗例