――コレステロール値が高い場合、どのような治療をおこないますか?

 LDLコレステロール値が140ミリグラム ⁄ dl以上の場合、「高LDLコレステロール血症」と診断されます。治療について、動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、まず生活習慣の改善を基本としています。健康的な食事を心がける、アルコールを控える、適正体重を維持する、禁煙するなど、生活を見直してもLDLコレステロール値が目標のレベルまで減少しない場合は、スタチンなどによる薬物療法を検討します。

 一方で、更年期障害の治療として、エストロゲンを補充する「ホルモン補充療法」をおこなうことで、更年期症状の改善に加え、LDLコレステロールの減少、HDLコレステロールの増加といった脂質の改善や骨量の増加などの効果が得られることがわかっています。

 ホルモン補充療法は、更年期のホットフラッシュやのぼせ、不眠など、つらい症状を軽減することを目的におこなうものであり、更年期の症状がない人に対してLDLコレステロールを減らすことだけを目的におこなうことは推奨されていません。

 コレステロール値が高くなる原因は、食事や生活習慣、家族歴などさまざまであり、エストロゲンの減少だけで起こるものではありませんが、女性の脂質異常症は、男性のそれとは少し機序が異なる、女性特有のしくみによって起こる病気とも言うことができます。

――コレステロール値が高い場合に、婦人科を受診するという選択肢もあるのですか?

 健康診断でコレステロール値が高いと指摘された場合、まずは内科を受診するのもひとつの選択です。ただし、閉経期を境として女性の体にはさまざまな変化が起こること、それにより高コレステロール血症や骨粗しょう症など、女性の健康寿命に影響をおよぼす病気が起こりやすくなることを理解しておき、更年期に何らかの症状や不調がみられた場合は婦人科を受診するという選択肢があることも知っておいていただきたいと思います。

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