冒頭の女性は2018年、性暴力被害当事者らでつくる一般社団法人「Spring(スプリング)」代表理事だった山本潤さんの著書『13歳、「私」をなくした私』を読み、同法人の活動に参加。仲間とともに、関係省庁や議員など6年間で約500人へのロビー活動を続け、実態に即した刑法改正への理解を求めてきた。
女性は、今回の改正について、罪名に「不同意」の3文字がついたことを高く評価する。
「私たちの念願でした。同意のない性的行為は、すべて罰することができます」
■認識できたのは30年後
女性は高校3年の時も顔見知りの男性から性被害を受けた。この時、同意のない性行為が犯罪になっていれば、訴えていたかもしれないという。
改正刑法には課題も残る。公訴時効は5年延長され「15年」となったが、子どもの性被害を防ぐためにも「公訴時効は撤廃するべき」という声は多い。
幼少期は受けた行為をすぐに理解できない。女性が小学生の時に受けたのが性被害だとはっきり認識できたのは41歳の時。カウンセラーに当時の話を聞いてもらうと、「それは性被害だよ」と言ってくれた。だが、被害から30年がたっていた。
「不同意性交」は犯罪となったが、明確な同意、つまり「イエス」と言わなければ性犯罪とする「Yes Means Yes」まで踏み込んでほしかったと話す。
「性犯罪をなくすには、正しい性教育がなされていないなど、まだまだ課題はあります」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年7月3日号より抜粋