食料品の値上げが続く今、食費の節約を考える人は多い。冷凍保存を活用して、家庭内の食品ロスを減らすことは家計防御に有効だ。しかし、野菜は冷凍保存の方法によっては水っぽくなり食感が悪くなることもある。どのように冷凍すれば、解凍後もおいしく食べられるのだろうか? 東京農業大学元教授で農芸化学博士の徳江千代子さん監修『もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク』(朝日新聞出版)から野菜の保存テクニックを紹介する。
【写真】手間なし簡単!野菜の冷凍保存で鮮度をキープする「ブランチング」
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■野菜を生のまま冷凍保存すると水分が凍ってしまい食感も味も落ちる
野菜にはトマトのように生のまま冷凍できるものがありますが、ものによっては、生のままの冷凍に向いていないものがあります。
チンゲン菜などの葉物野菜もそのひとつ。そのまま冷凍すると細胞内の水分が凍り、細胞が壊れてしまいます。
そのため、いざ解凍してみると食感はスカスカだったり、ベチョベチョと水っぽくなってしまうのです。
■野菜はさっと炒めたり、ゆでてから冷凍保存すると解凍後もシャキシャキしておいしい
野菜はさっとゆでたり炒めたりしてから冷凍すると、変色を防ぎ食感が落ちることなく、さらに栄養価も変わらず保存できます。
それは熱によって酵素が死滅し、生のまま冷凍したときに起こる細胞組織の破壊を最小限に抑えられるため。
解凍後もみずみずしく、おいしく食べられます。また、下ごしらえ済みなので時短にもなり一石二鳥です。
■野菜類は冷凍前にブランチングして鮮度をキープ
ブランチングとは、かためにゆでたり蒸したりすること。
90~100℃の熱湯に野菜を入れ、さっとゆでたら冷水で一気に冷まし、水けを拭き取ります。そして、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
■にんじんや薬味など水分の少ない野菜は生のまま冷凍保存
全ての野菜をブランチングすればよいわけではありません。
にんじんやピーマンなどの水分の少ない野菜や薬味、アボカドなどは切ってから、ゆでたら崩れるようなトマトはそのまま冷凍した方がよいでしょう。
そのほかにも、塩もみ、すりおろす、ゆでて潰すなどして冷凍しておくと調理するときに便利です。
(構成 生活・文化編集部 森 香織)