あの「緊急地震速報」の嫌な音、最近やたら聞く機会が増えた。実は5月だけでも、震度5弱以上の地震が6回も観測された。東日本大震災から12年、「次」の大地震がいよいよ来るのか。AERA 2023年6月26日号の記事を紹介する。
【今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率はこちら】
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「たまたま」
5月に大きな地震が続いたことについて気象庁の下山利浩・地震情報企画官は6月8日の会見でこう説明した。
5月5日能登半島沖(震度6強)、同日能登半島沖(震度5強)、11日千葉県南部(震度5強)、26日千葉県東方沖(震度5弱)など、5月には震度5弱以上の地震が6回も観測された。
熊本地震(2016年)、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災、2011年)、新潟県中越地震(2004年)で本震や余震が集中した時期を除けば、1カ月で6回も震度5弱以上が観測されたことは、ここ20年の記録ではない。6月に入っても11日に北海道浦河沖の地震で震度5弱が観測された。
気象庁広報室は「今回は場所がばらばらで、直接的な関連はない。たまたま活発な時期が同じタイミングになったもので、異常に地震が多いというわけではなく、通常の変動の範囲内だ」と説明する。
しかし阪神・淡路大震災(1995年)の前年に、兵庫県猪名川町で群発地震が起きていたことから、どうも地震が続くと気になる。一方で大地震の前には地震が減る静穏化が生じる場合もあることが知られている。増えても減っても気は休まらない。
阪神・淡路大震災から28年、東日本大震災から12年、そろそろ「次」が来るのだろうか。
日本中どこでも揺れるリスクがあるが、その「やばさ」には濃淡がある。阪神・淡路大震災後に政府が設けた地震調査研究推進本部(地震本部)が、プレート境界型地震の震源の位置、過去の揺れの歴史資料、活断層の発掘データ、地盤の揺れやすさなどの研究成果をとりまとめて、大揺れに見舞われる確率を示した日本地図を2005年から公表している。
最新版を見て一目でわかるのは、プレート境界に近い太平洋側の確率がぐんと高いことだ。人口とGDPが集中しているところほどリスクが高いという日本の不幸な現実である。
東北地方から関東北部の太平洋側にかけても色が濃い。東日本大震災に見舞われたから、もう当分大丈夫なのかと思っていたら、そうでもないらしい。