「GIGAスクール」以前からICT活用授業の先進事例を作ってきた近畿大学附属高校(写真:近畿大学附属高校提供)
「GIGAスクール」以前からICT活用授業の先進事例を作ってきた近畿大学附属高校(写真:近畿大学附属高校提供)

 ChatGPTが登場し、学校での生成系AIへの対応に注目が集まっている。「利用」か「禁止」か、選択次第でこれからのAI社会を生きる子どもたちに、大きな差が生まれる懸念の声があがっている。AERA 2023年6月5日号の記事を紹介する。

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 コロナ禍、リモート授業のニーズが高まったことを受け、政府は全国の児童・生徒に1人1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する「GIGAスクール構想」を前倒しし、2021年春には形にした。並行して20年からは小学校でプログラミング教育が必修化された。

 しかし、時代はそれを上回るペースで先に進んでいる。自然な文章を生成する人工知能(AI)、「ChatGPT」ばかりが話題だが、22年春には、お題の通りにコンピュータープログラムを書く競技で、アルファコードというAIが人間と互角の成績を残した。遠からず、単純プログラミング作業はAIの仕事になる。他にも、学校で教えられているスキルには、いずれ、より速くより高精度なAIに委ねられそうなものが少なくない。そんな時代に、学校では何を、どのように教えるべきなのか。

 英語圏は、ひと足先にこの問題にさらされた。20年夏、ChatGPTの前身、GPT-3が登場。その直後、教育系ウェブサイトのEduRef.netが米国史、法律問題、研究方法、そして創作文の4分野の論文で大学生とAIを競わせた。大学生が平均3日かけて書く論文をAIは平均20分で書き、創作文以外では大学生と互角の成績となり、教育界を震撼(しんかん)させた。

 日本でも日本語に対応したChatGPTが登場したことで、今年5月には東京大学、慶應義塾大学、京都大学などが相次いでAI活用のガイドラインを発表。学校教育でAIをどう活用するかの議論が注目を集め始めた。一方、全面的に禁止して、これまで通りの教育を守ろうとする学校も少なくない。

■AIはチートツール!?

「ちゃんと自分で使ってみて、どのようなものなのかというニュアンスをつかんでいる先生は実際には非常に少数です」

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