見つからなかった。腕を組んでいる写真がないのではなく、タラップでの写真がないのだ。お二人が政府専用機に乗ったのは今回が初めてで、それまではずっと民間機を使っていた。そのためタラップでの撮影機会がなかったというわけだ。
令和になり、「皇嗣」になった19年にもポーランドとフィンランドを訪問したが、その時も民間機だった。訪問前の記者会見では、警備についての考え方が質問された。秋篠宮さまは、「私の気持ちとしては、警備は確かに大事かも知れませんけれども、それによって市民生活に何か不都合なことが起こる、それは避けたいなと思っています」と答えた。
■感覚をアップデート
「初の政府専用機」に関連して、朝日新聞デジタルは「秋篠宮さまは、一般の人と同じ列車の車両に乗ったり、天皇ご一家や上皇ご夫妻のような車両の交通規制をしいたりせず、自然体を好むことで知られる」と報じていた(5月4日配信)。
「一般の人と同じ」は、秋篠宮さまそのものだと思う。「皇太子家の次男」として生まれ、いずれ天皇になる長男ではない自分を見つめ、「一般の人と同じ」視点でいようと決めた。そう拝察している。飛行機もそうだったし、ジェンダー意識もそう。アップデートすることが「皇太子家の次男」にとってごく自然なことで、それが「秋篠宮家の次女」に受け継がれている。
戴冠式後、秋篠宮さまは「とても荘厳で、喜びに満ちた良いお式だった」と語っていた。紀子さまともども、穏やかな表情だった。国内でも、穏やかがいいに違いない。そのためにも「ジェンダーの秋篠宮家」の積極的な打ち出しを。かなり本気でそう思っている。(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2023年5月22日号より抜粋