「SNSなら忖度(そんたく)なしに情報発信できます。ネットのおかげで、これまで情報が届かなかった人たちにアプローチできています。

 経済を知らなくても生きていけるし、興味がなければ調べなくてもいい。でも、よほどの富裕層でない限り、預金以外での資産形成は避けて通れない問題でしょう」

 わかりやすく、おもしろく、偏りなく。後藤さんの情報発信に共通する3カ条だ。ツイッターでもnoteでもユーチューブでも、読者数や再生数を稼ぎたいための過激な「釣り見出し」コンテンツはない。

 ネット上には有料無料を問わず、情報があふれている。大げさなもの、間違っているものも多々ある。

「特定のインフルエンサーの1人か2人だけを信奉することは勧めません。『この人に聞けばすべて完璧』なんて、ありえないからです。

 また、断定口調を連発する人は危険かもしれない。株価や為替の見通し、買うべき金融商品を断定的な言葉で語られると、インパクトがあって『この人の言うことはすごい』と思ってしまうかもしれませんが……ご注意ください」

 金融機関やきちんとしたメディアは基本的に断定口調を使わないので、特に初心者は「言い切られると新鮮に感じる」のだ。言葉のマジックである。

「マーケットと長年向き合っていると、断定口調で話すことが恥ずかしくなってくるものです。世の中は複雑ですから。明日は何が起こるか、誰にもわからない」

 ツイッターもユーチューブも、怪しいもののほうが多いと思うぐらいでちょうどいい。発信するのに資格は不要だし、過激なことを言うほど注目され、フォロワーも増える。

 大手金融機関に勤めていたことを信頼性の担保にする人もいるが、どの部署にいたかで知識の程度は変化する。正確な情報を丁寧に発信している人ほど目立たない(後藤さんを除く)。

 最近はSNSだけでなく、書籍も見極めないと危ない。フォロワー数の多さに目をつけた版元から声がかかり、付け焼き刃の知識しかない人が出す「トンデモ本」が存在する。

 証券会社のレポートや新聞にも、それぞれのバイアスがかかっている。

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