「ツイッターなどのSNSで経済に関し『断言』する人は信じないほうが」
「ツイッターなどのSNSで経済に関し『断言』する人は信じないほうが」

 後藤さんは慶應義塾大学経済学部を2004年に卒業し、日経入り。金融市場全般と日銀、財務省、企業調査を主なフィールドにニューヨーク特派員も経験し、取材や執筆の幅を広げてきた。

 記者の仕事は情報入手で競う面が強いが、後藤さんは日経在職中に米国コロンビア大学留学も経験している。シンクタンクのCJEB(日本経済経営研究所)で2年、エコノミストとしての修業を積んだ。

 独立して、暮らしはどう変わったか。

「気が向いたとき、働きたいときに働いています。夜9時に寝て深夜2時に起き、執筆することもある。午前3時に寝ることも」

 どんなに忙しくても1日6~7時間の睡眠は確保する。寝不足は大敵。

「家では自室に行けばいつでも仕事ができてしまうので、オンとオフの境目があいまいになった感じはあります」

 後藤さんとマーケットとの接点は学生時代にさかのぼる。

「2000年夏のマネックス証券上場直前、創業者の松本大(おおき)さんの講演を聞いて株に興味を持ちました。当時は大学生でしたが、なけなしの貯金でマネックスの株を買ったのが最初です。

 その後20年以上も経って松本さんと対談(2022年12月28日「マネクリ」<マネックス証券のマネー情報メディア>)したときはうれしかった」

 一口にお金や経済の情報と言っても、ツイッター、note、ユーチューブ、テレビ番組と各媒体に適した伝え方がある。

「noteは日本経済新聞に近いかもしれません。月500円の課金をしてでも勉強したい人たちが読んでくださっているので、『つみたてNISA(少額投資非課税制度)って何?』みたいな超初心者向けの内容はマッチしづらい。

 ツイッターのフォロワーも金融リテラシー(お金や経済の知識と判断力)が高めの人が多いように感じます。ユーチューブは視聴者の視聴結果を元におすすめ動画が表示されることもあり、少し受け身。

 とはいえ経済に興味のある人が見る前提ですから、わかりやすいグラフを自作し、視聴してくれる層を探っています。

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金融機関が相手にしなかった“カネにならない人”に発信