

「もともと機械いじりは好きだったんです。プラモデルが好きで、お小遣いでニッパーとかヤスリとか少しずつ買いそろえてね。家のものを分解するのも好きで、分解して壊してしまって、よく怒られていました。そんな少年だったので、バイクのメカが面白くて。ただ、バイクをいじっているうちに限界を感じてしまったんです」
河原さんがぶち当たった限界は電気系統だった。普通科の高校だったので自力で学ぶしかなく、図書館などで本を読みあさり、電気系統の勉強をしまくったという。勉強したら、今度は学んだことを実践したくなる。
「壊れたバイクを見つけて、持ち主に泣きついて譲ってもらい、重いバイクを引きずって帰ったこともありました」
どんどん電気系統に詳しくなった河原さんの興味は、オーディオ系に移っていく。まずは秋葉原で本棚型スピーカーの組み立てキットを買いスピーカーづくりをしたのが始まり。興味は次第にスピーカーからテープデッキに変わっていく。
「オープンリールデッキもカセットデッキも。マイクロカセットデッキにも挑戦しました。試行錯誤の連続なので、修理している最中に煙が出てきて壊してしまったこともたびたびあります。これまで5台くらい潰してしまってます。でも、大変で難しいものほど修理しがいがあり楽しい。どうやっても届かないような故障箇所に手が届いて、部品がハマった瞬間なんて最高にうれしい」
修理好きが高じて、現在は都内のおもちゃ病院のドクターをボランティアでしている。
「子供のおもちゃの修理はテープデッキ以上に難しい場合がある。半導体が使われていたり、ふたを開けた瞬間に中の部品が吹っ飛んでしまう構造のものがあったり。これも楽しみながら直しています」
河原さんの元にはご近所さんから「エアコンが壊れてしまったんだけど、直るかしら?」といった依頼もあるという。