「修理を仕事にしている人」「修理してでも使い続けたい大切なもの」。週刊朝日で過去2回にわたり“修活特集”で紹介してきた。締めくくりの今回は「修理を趣味にしている人」を紹介しよう。対象や理由はさまざまだが、修理して使う楽しさを知り、その”沼“にハマってしまった方々だ。
現在、音が出なくなった30年ほど前の山水電気のAVアンプの修理に取り組んでいるのは神奈川県在住の河原聡さん(50代)。
「修理し始めると夢中になって、つい徹夜してしまうことがあるんです。徹夜はまずいと思って布団に入っても、直したい気持ちが収まらずに眠れなくなったりしてしまう。だから作業はいつも休みの前日にやってます」
部屋には自分で修理した古今東西のテープデッキ類が並ぶ。ほとんどがフリーマーケットやリサイクルショップに行って発見した元「壊れもの」だ。
「最近はネットオークションも利用します。ただ、そんな壊れ物でも今は値段が上がっててね。昔は100円、200円で買えたものが、今では数万円することもあるんですよ」
家族の目も当初は冷たかった。愛妻からは「また粗大ゴミを買ってきて……」「直していくらで売れるの?」などと言われたこともあったが、家の洗濯機や電子レンジが壊れた際に、河原さんが直してしまったところ妻は感動。今では妻公認の趣味となっている。先日は、変わった修理の依頼を受けたという。
「カミさんがボロボロに錆びた南部鉄瓶を拾ってきて、直してほしいって言う。直した経験はありませんでしたが、“わかった。やってやろうじゃないか!”って(笑)。けっこう楽しめました」
修理の技は独学で身に付けた。始まりは、高校に進学した時に手に入れたバイクだった。