「週刊朝日」の連載「週刊図書館」は初めての週刊誌書評欄でした。名著を読者に紹介し、三島由紀夫や大江健三郎も執筆。長く当欄の連載を担当してきた文芸評論家・斎藤美奈子さんとライター・永江朗さんが2回にわたって語り合います。
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斎藤:私と週刊図書館の関わりは、最初に通常の依頼書評があり、その後、「誤読日記」と「文芸予報」という連載を二つやり、それから「今週の名言奇言」です。「誤読日記」は結構辛口の書評で、何か言われたら「すいません、誤読なんで」と言い訳していました(笑)。「文芸予報」は、新人や初めて小説を書いた人の本を取り上げていました。最後の「名言奇言」は10年以上続きました。
永江:ぼくは「新書漂流」、時事的なことを本と絡めた「ニュースな本」、それから「愛される理由」「ベストセラー解読」、そして最後は長薗安浩さんと交代で書いていた「ベスト・レコメンド」欄です。
斎藤:やっぱり変遷していくのですね(笑)。
永江:いまアサヒ芸能の書評欄でも連載を持っていて、書評は漢字の朝日からカタカナのアサヒまでと言っています。
さて、週刊朝日の書評欄である週刊図書館ですが、1951年に始まっています。週刊誌で初めての書評欄です。当時の編集長、扇谷正造さんの編集方針があって、「一、とりあげる本は小説、一般教養書、家庭、児童読物等。一、いちいち買わなくても済むような忠実なダイジェストを行う。一、小さいが、良心的な出版の発掘につとめる。一、よく売れてる本、問題の本をとりあげる。一、毎月二回筆者と編集部が持ちよってとりあげる本を定める」とあります。
斎藤:これ、私が書評を書くときに思っていることそのままですね。びっくりしました。
■書評のお手本を作った週刊図書館
永江:ぼくの書評における心の師は丸谷才一さんなのですが、丸谷さんはイギリスの高級誌の書評を手本にした。芸がないと書評じゃないと。そのとおりだと思いました。