「週刊朝日」の表紙にも登場している 写真=篠山紀信
「週刊朝日」の表紙にも登場している 写真=篠山紀信

 ライブにはしばしばロリータファッションで登場する戸川さん。YouTubeにはキャップにオーバーサイズのパーカーというBボーイ風ファッションで登場しており、年齢を感じさせない独特のファッションセンスは健在だ。

──還暦をすぎてロリータファッションでライブで歌っている姿には、年齢にとらわれない自由さを感じます。年齢を重ねることをどのように感じておられますか。

戸川:でもなあ、同世代のなかで私、異質だからね。この年齢でロリータファッションって、何やってるのみたいな。

──若い時のロリータファッションとは意味が違って、はね返すような強さがあると思います。

戸川:「そこのけそこのけ戸川が通る」みたいな? ロリータファッションが鎧ですよね。若いころから着ていますが、その前はハイソックスでランドセルですからね。ロリータというより、幼児。

 ニューウェーブの歌姫から時代の先端を行くアイコンに──。メジャーとマイナーを行き来して活動した80年代から、どこか生きづらさを抱えた若者を魅了してきた戸川さん。その原動力はどこにあるのだろう。

戸川:先ほどおっしゃられた、なんで続けているんだろうみたいな感じは、歌が好きだからなんです。

──愚問でした。

戸川:聞いていただいて、言うのが嬉しいです。歌を歌うのが好きで好きでしょうがないから、もっと前みたいに歌いたいとかそういう欲の深いところに行くわけですよ。歌が歌いたいという気持ちが高まると。80年代にすでに、もう音楽は出尽くしたってみんな言っていた。でも出尽くした出尽くしたと言われながら、ヒップホップが進化したり、ヒップホップのおかげでテクノがまた再評価されたり。昔できなかったことが機材が充実して進歩してできるようになったり、という感じもありますね。

(構成/本誌・小柳暁子)

戸川純(とがわじゅん)/ 1961年、東京都生まれ。俳優・歌手。音楽作品に「玉姫様」「好き好き大好き」「昭和享年」ほか。出演作に「ウンタマギルー」「男はつらいよ ぼくの伯父さん」(ともに89年)ほか。著書に『戸川純全歌詞解説集』『ピーポー&メー』(以上、エレキングブックス)、『戸川純の人生相談~どうしたらいいかな、純ちゃん~』(山口慎一との共著、リットーミュージック)ほか。

戸川純さんライブ情報 6月1日(木)札幌cube garden/6月27日(火)福岡Gate’s7

週刊朝日  2023年5月26日号

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