80年代初頭から俳優・歌手として活躍し、その唯一無二の存在感で多くの熱狂的ファンを獲得していた戸川純さん(62)。還暦を超えてますます意気盛んに活動している戸川さんに話を聞いた。
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──還暦前後からライブ活動が再び活発になっています。
戸川:増えています。2006年に足腰を骨折してから2年間活動ができなかったのですが、久しぶりに歌ったら唖然としました。1オクターブしか出ない。ファルセットが出ないことがショックで。カラオケボックスでずいぶん汗を流しました。みんなはパーティーをする所だけど、私にとってカラオケボックスは訓練の場所で。
──ライブはファンも本当に嬉しいです。
戸川:ありがとうございます!
──ファルセットがあまり出なくなったということですが、声の重量感が増したというか、低音がガツンときます。
戸川:歌に関しては欲深で。低音が出るようになったら、高音も出したい。昔よりレンジを広げたい、と思いました。昔は3オクターブ半出ていましたので。
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戸川純さんは1982年、音楽ユニット・ゲルニカのボーカルとしてデビューすると、荘厳なオーケストレーションで構築されたレトロな世界観を体現し、一躍80年代ニューウェーブシーンの歌姫として脚光を浴びる。ゲルニカ活動休止後は、83年にロックバンド・ヤプーズを結成し、ボーカルと作詞を担当。エモーショナルなライブパフォーマンスで人気になった。
子役経験もある戸川さんは俳優としても活躍し、「ウォシュレット」CM出演や「釣りバカ日誌」シリーズのOL役でお茶の間にもおなじみだった。現在YouTubeやTikTokで「好き好き大好き」など当時の作品が、国境を超えて若い世代に再注目されている。
──戸川さんとしては80年代と変わらない気持ちで音楽活動されていますか?
戸川:逆に言うと、変わりたくなかったです。ただやっぱり年とともにキーが落ちて……。それで、初めてボイストレーニングに通いはじめたんです。そうしたら音域が3度上がったんですよ。てきめんだと思いました。60の手習いというか。