巨人・丸佳浩
巨人・丸佳浩
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 MLBに比べるとまだまだ少ないものの、NPBでも近年複数年の大型契約を結ぶ選手が増加傾向にある。昨年オフにはフリーエージェント(FA)権を行使した近藤健介が7年総額50億円(推定)と言われる条件でソフトバンクに移籍して話題となった。

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 しかしこれまでの例からも、大型契約に見合った活躍を見せることができていないケースも少なくない。今年苦しんでいる代表例と言える選手が村上宗隆ヤクルト)だ。昨年は令和初の三冠王に輝き、日本人選手歴代最多の56本塁打を放つ大活躍を見せ、オフには22歳(当時)の若さでは異例となる年俸6億円の3年契約を結んだ。しかし今シーズンは開幕直後から低迷。ホームランこそそれなりに出ているものの、打率はなかなか上がらずに2割台前半に沈んでいる。また三振数(96)は両リーグで圧倒的にワーストとなる数字となっており、このままのペースでは1993年にブライアント(近鉄)が記録した204三振を上回る可能性もありそうだ。

 村上のチームメイトである山田哲人(ヤクルト)も精彩を欠いている。国内FA権を取得した2020年のオフに推定年俸5億円プラス出来高の7年契約を結び、翌2021年には34本塁打、101打点の活躍でチームのリーグ優勝に貢献。しかし昨年は大きく成績を落とし、今年もここまで打率2割台前半と低調な成績となっている。比較的反動をつける動きが大きい打ち方で、年齢を重ねるとともにミスショットが増えている印象は否めない。今後も調子が上向かないようであれば、少しスタイルを変えるなどの工夫も必要になりそうだ。

 一方の投手で苦しい複数年契約のスタートとなったのが山崎康晃(DeNA)だ。2020年からの2年間は調子を落として中継ぎに配置転換となっていたが、昨年は37セーブ、防御率1.33と見事に復活。オフにはかねてから希望していたメジャー移籍を封印し、年俸3億円の6年契約を結んでチームに残留した。しかし今年はシーズン初登板となった4月1日の阪神戦でいきなり負け投手となると、その後も度々不安定なピッチングを見せ、早くも4敗を喫している。リーグトップタイとなる17セーブをマークしているものの、防御率4.50という数字はやはり褒められたものではない。チームの25年ぶりとなるリーグ優勝のためにも、山崎の復調は大きなカギとなるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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