パリ五輪での金メダルを目指す瀬戸大也
パリ五輪での金メダルを目指す瀬戸大也
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 今、日本の400m個人メドレーが熱い。2023年に入ってからの世界ランキングを見てみると、10位以内に日本人選手が6人も入っており、まさに世界を席巻している状態だ(5月30日現在)。7月に福岡で開催される世界選手権の選考会の結果がまだ出そろっていないとはいえ、日本の個人メドレーの層の厚さを感じさせる。

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 そのなかで瀬戸大也(CHARIS&Co.)が好調だ。昨年の世界選手権でマイケル・フェルプス(アメリカ)が持つ世界記録にあと0秒44に迫る大会ベストを叩き出したレオン・マルシャン(フランス)に次ぐ、世界ランキング2位につけている。しかもそのタイムは疲れを完全に取り、身体的にも精神的にもピークを持ってきたタイムではない。だからこそ、瀬戸は「自己ベスト(4分06秒09)は今季中に更新することができると思う」と自信を持って話す。

「コンディションもそれほど良くなくて、泳ぎもまだハマっていない状態でも、4分07秒台が出せています。これから4種目とも感覚的にハマっていないところを調整しながら、これまでと同じように練習をコツコツ積めば金メダルも見えてくると思うので、まずはしっかりと福岡で良い泳ぎをして自己ベストを更新したい」

 世界は過渡期を迎えている。昨年の世界選手権で、10代の若手選手たちが大活躍を見せた。個人メドレーもマルシャンという、新しい時代がやってきた。

 そのマルシャンの持つタイムは4分04秒28で、瀬戸の自己ベストからは2秒近く離れている。数字だけを見ると、400m個人メドレーにおける瀬戸は、世界選手権でメダルは獲得できる可能性は非常に高いが、金メダルを獲得できるかというと、その確率は絶望的にすら思えてしまう。

 だが、瀬戸は今までもそんな数字からはじき出される予測を軽々と乗り越えてきた。2013年の世界選手権では、前評判は萩野公介のほうが上だったが、初めての世界選手権で金メダルを獲得してみせ、2015年には日本人初となる2連覇を達成した。2019年はメダルを獲得できるかどうかのライン、と評価されていた200mで金メダルを獲得する勝負強さを見せた。勢いそのままに400mを制して北島康介以来となる2冠を達成した。

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パリ五輪で金メダルなるか