ついでにもう一つ、職場全体から見た時の話もしておきます。例えば「あ、先輩手伝いますよ」と言ってお茶くみを手伝ってくれる人がいると、その場の空気がぱっと軽くなります。

 僕自身も心がけているんですけど、例えば雨の日に宅配の業者さんが荷物を届けてくれた時。「雨の中、本当にありがとうございます」と言えるとその場の空気が少し軽くなります。もし無愛想に「そこ置いといてください」と言ったら、自分の玄関先に恨みをためることになる。「雨の中ありがとうございます」の一言で、玄関先にたまる重い空気を解除できるんです。そういうささいな一言を言うのが、生きていく上で結構大事な行為だと思っています。

 それは僕が大人になって習得した生きやすさの知恵みたいなものですが、今この相談者の方に押し付けるつもりはありません。モヤモヤがたまった状態で、自分の中の重く固まってしまった空気を、その職場で直接晴らすのは難しいと思うから。だからこそ、第三の場所で手を合わせる時間をぜひ日課として持ってみてください。

AERA 2023年6月26日号

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