
作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。今回は宇宙飛行士の山崎直子さんとの対談を振り返ります。
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かわいらしい宇宙飛行士さんにお会いした。年上にそんな表現はいけないのだが、「ありがちありがち」などと合いの手を入れてくださり、すごく話しやすい。宇宙飛行士というと頭脳明晰で冷静という感じがするが、同じ目線になってくれるところ、うんうん、と話を聞いてくれるところにふしぎな感じを覚えた。
もちろん、私がインタビュアーである。だから、私が話を聞かないといけないのだけれど、大宮さんの話も聞きたいなという感じがあるのと、ご自分の話をされるというよりも、海のように、呼応するように話される方のように感じた。そして、私は、山崎さんの話を聞いて、私もそんな人生だったらなあと思ったのだ。
ただ、宇宙飛行士のところではなくて(笑)、中学時代、お母様が単身赴任のお父様のところに1カ月いってしまわれたところ。「あとはがんばってね」という感じだったそうだ。そこで料理をお兄様と分担してやられたとか。この軽い感じがいい。じゃあ、まあ仕方ないか、と。そこで芽生える自立心。大学院での留学も自分で決めて、自費では行けないから奨学金や現地のサポート、NASAとの結びつきもあるところなど、自分で全部調べて行ったそうだ。
私には残念ながらそういうところがなかった。そこそこ自分の人生を切り開いてきたつもりだけれど、私の場合、行き当たりばったり。目の前に現れたことに、怖気づかずに飛び込む連続だっただけだ。でも直子さんは違う。まず夢がある。先生になりたいなあとか、宇宙に行ってみたいなあというのがあって、考えて、切り開いていく。でも髪を振り乱してではなくて楽しみながら、コツコツ準備していく。そこが素晴らしく、美しい生き方だなあと憧れた。本のページを、きれいに1ページずつめくるように、直子さんの人生の物語は進んでいるように思えた。