風邪をこじらせて大きめの病院に行ったら「このまま入院してください」と言われ、右往左往した経験があります。抵抗力が弱りがちな季節、病気やケガで急に入院することになったときのために「入院セット」をつくっておきませんか。

まさか自分が?! 入院は他人事ではありません

風邪で受診したらじつは結核で即入院!そんな若者も意外と多いのだそうです。万一緊急入院したら、その日だけは病院でなんとかしてもらえるかもしれません。でもその後は、必要な物の用意は家族などまわりの人がすることになりますね。
一人暮らしで、近くの友人や大家さんに病院からもらったリストを渡して「これ全部売店で買ってきて」とか「部屋のタンスから下着持ってきてくれますか」とお願いするなんて、考えただけで身がすくみませんか。また多くのご家庭では「物の在処をわかっているのは主婦だけ」といいます。そのお母さんが突然入院したら「あれは何処?」と、ただでさえ大混乱しそうなのに、妻の下着やスキンケアグッズをまとめて病室に届けることのできる旦那さまがはたしてどれくらいいるでしょう・・・。
入院が必要な体であれこれ揃えて荷造りするのは大変です。「人には頼みづらい物」だけでも、前もってバッグにひとまとめにしておけば「あのバッグを持ってきて」と一言お願いして済みます。一人で病院に向かう場合も、バッグひとつ持ってすぐタクシーに乗り込むことができるのです。まわりの人の負担も減らせますね。

親しい人が入院するときも、心にゆとり

持病や高齢で「入院の可能性がある」家族のためにセットをつくっておくと、 もし急に具合が悪くなっても準備に心を煩わせることなく付き添っていられます。 かかりつけの病院があればその入院リストに従いましょう。高齢のご夫婦は夫妻それぞれにバッグをつくり押し入れの手前など取りやすいところに並べておくと安心です。また小さな子供が病気になると親は片時も離れられませんから、支度ができていることで心にゆとりが生まれます。元気なときの備えは保険のひとつと考えましょう。
さらに、全てを使い捨てか未使用のもので揃えれば、家族や親戚と共有できたり、場合によってはご近所の緊急事態のお役に立つかもしれません。

こんな物を入れてみては

指定のタオルや寝間着の使用(有料)を義務づけている病院や、入院グッズのレンタルもあります。ただ身の回りの細々したものは、やはり自分の用意したものが使いやすいようです。参考までに、ある病院の入院リストをご紹介します。
<入院生活に必要なもの>
□寝巻・パジャマ(前開き)□下着□洗面用具(歯磨き・シャンプー・ボディーソープなど)□コップ□タオル・バスタオル□履き物(滑りにくいもの)□ティッシュペーパー□テレビ用イヤホン
※箸・スプーン・湯のみはお食事の際に提供
※万一の非常時に備えて、懐中電灯をご用意ください
これにたとえば乳幼児なら紙おむつや哺乳瓶など、使う人が必要なものを加えます。お世話できる人がいれば、すぐ必要なものだけを小さめのバッグに分け、それ以外は別にまとめて家に置いて行くと、身軽に動けます。
メモとペン、名前を書くマジック、ウエットティッシュ。家族や恋人の写真。食事制限がなければ、食塩・ゆかりなど。
下着は洗濯ネットに入れてそのまま洗濯してもらうか、百均などで売っている旅行用の紙製ショーツを使い捨てることもできますね。新品の衣類はパッケージやシールをはずしておき、タオル類の新品は吸水しにくいので洗濯してから入れます。病院ではシックな色より明るい柄が映えますよ。
「お見舞いさえ断れば、入院しているんだから人の目には触れないだろう」と思いきや、じつは検査のため外来の患者さんと同じフロアに行く機会がけっこうあるもの。自分で歩ける人はエレベーターに乗って検査室間を移動したりするので、羽織るものは必須です。ふだんウィッグをしているなど髪が気になる人は、ソフトな素材の帽子やバンダナなどカバーできるものがあると安心です。長い髪は留める物を。また、元気になると体毛などグルーミングが気になってきます。ブラシや綿棒・T字型カミソリ・爪切りなど、かさばらないので入れておくと便利ですね。

在宅中も旅行バッグが大活躍

手持ちの旅行用ボストンや小型のキャスター付きバッグに内袋で仕分けして納め、旅行時には内袋ごと大きな紙袋などに移し替えて帰宅したら戻します。そのバッグの存在を、まわりの人に伝えておくことも忘れずに。とくに一人暮らしの人は自分の意識がない場合も考えて、保険証のコピーや複数の連絡先を書いた紙を目立つところに入れておきましょう。
急な入院は、まさに非常事態! そう考えると、入院セットは防災グッズの一環といえそうですね。お気に入りの旅行バッグに、安心のための荷造りをされてはいかがでしょう。