侍ジャパンの3大会ぶり3度目の優勝に沸いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。そのメンバーはドラフト1位でプロ入りした選手が多かった一方で、宇田川優希(オリックス)、甲斐拓也、牧原大成、周東佑京(いずれもソフトバンク)と育成ドラフト出身者が4人も名を連ねていたところに、日本の野球界の裾野の広さを感じたファンも多かったのではないだろうか。
【写真】なかなか「二軍」から抜け出せない巨人の選手といえば?
そこで今回は、現在は育成契約ながらそんな彼らに続いて侍ジャパン入りを狙えるポテンシャルを秘めた選手を探ってみたいと思う。なお対象は育成ドラフトでプロ入りし、まだ一度も支配下登録されていない選手とした(成績は5月9日終了時点)。
今大会に出場した4人を見ると、スピードと決め球のあるリリーフ投手、強肩捕手、ユーティリティプレイヤー、足のスペシャリストと、やはり分かりやすい“一芸”の武器があることが支配下登録、そして侍ジャパン選出に繋がっているように見える。まず投手で面白いのが松山晋也(中日)だ。高校時代は全く無名で、八戸学院大でも3年秋にようやくリーグ戦デビューし、4年春まで未勝利だったものの、ドラフト直前の4年秋に結果を残し、昨年の育成ドラフト1位でプロ入りを果たした。190cm近い長身で、さらに真上から投げ下ろすフォームから繰り出すストレートはコンスタントに150キロを超え、威力、角度ともに申し分ない。
また140キロ前後のスプリットも鋭く落ちる必殺のボールで、三振を奪えるのも長所だ。細かいコントロールや走者を背負ってからのクイック、スプリット以外の変化球などに課題があることは確かだが、二軍では抑えに定着して4セーブをマークしてイニング数を上回る奪三振数を記録するなど、低迷するチーム(ウエスタン・リーグで最下位)で希望の星となっている。課題がクリアされれば、宇田川のように勝ちパターンのリリーフに定着する可能性は十分にありそうだ。