配偶者やパートナーといつ別れのときがくるかわからない。万一のときのために、相続について話し合っておくことが必要だ。AERA 2023年5月22日号の記事を紹介する。
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日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団(大阪市)が、昨年9月に全国の20~79歳の男女を対象に行ったアンケートで、「自分で死の時期を決められるとしたら、配偶者やパートナーより先に死にたいかどうか」について尋ねたところ、全体の7割近くが「自分が先に死にたい」と回答した。性・年代別では、男性はどの年代でも「自分が先に死にたい」と回答した人が多く、50代と70代で8割、60代では9割近くを占めた。
一方、女性は40代までは「自分が先に死にたい」と回答した人が多かったが、50代以上になると反転。「自分が後に死にたい」と回答した女性は50代で5割超、60代で6割、70代で7割超と年齢とともに膨らんだ。
同財団によると、前回の2018年調査(17年実施)でも女性は50代以下までは「自分が先に死にたい」と考える人が多く、60代以上になると「自分が後に死にたい」と考える人が多数になる傾向が見られたという。
高齢になるほど「自分が後に死にたい」と回答した女性が多い理由について同財団の担当者は「今のシニアは男性よりも女性のほうが自立していることの反映ではないでしょうか」と話す。
また今回、「自分が後に死にたい」と回答した人に、その理由を複数回答で尋ねたところ、「配偶者やパートナーの生活が心配だから」(53.6%)と、「配偶者やパートナーの最期を看取ってあげたいから」(48.1%)の二つが主な理由に挙がった。「配偶者やパートナーの生活が心配だから」は女性に多く、「配偶者やパートナーの最期を看取ってあげたいから」は男性に多かった。「配偶者やパートナーを悲しませたくないから」は男性で41.4%と、女性の15.0%に比べると大きな差があった。
この結果について同財団の担当者は「いずれも相手に対する思いやりがうかがえますが、どちらが先に逝くかわからない以上、相続については配偶者やパートナーの間で日頃からしっかり議論しておくことが相手への思いやりにつながるのではないでしょうか」と話す。
※AERA 2023年5月22日号