東尾修
東尾修
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 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、WBCの日本代表の初戦「中国戦」を振り返る。

【写真】声をあげる大谷翔平

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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕した。日本は9日の開幕戦で中国に8-1と勝ったが中盤まで予想外の接戦となった。戦力からしたら大きな差があるが、これが国際大会。いつもならミスショットしない球もミスするし、日本の公式球とのボールの違いから、とんでもないコントロールミスも起きる。

 もちろん緊張感も加わって、戦力差は大きく縮まる。私が投手総合コーチを務めた2013年の第3回WBCも1次ラウンド初戦のブラジルに5-3と苦戦。八回に逆転してようやく勝利をもぎとったものだった。

 その中で先発の大谷翔平はさすがだった。1次ラウンドの球数制限は65球だが、エンゼルスからは50球程度に抑えるよう要望が出ていただろう。それでも四回まで1安打無失点で投げ切った。スライダーを多投したのも正解。力で抑え込もうとするとボール球が増える可能性もあるし、中国は直球一本でくるのはわかっていたから、結果的に省エネで済んだ。第2先発の役割を担った戸郷翔征は、逆に65球めいっぱいまで計算していただろう。2人できっちりと勝利を呼ぶ形はできた。

 打線でも大谷の1-0からの左中間フェンス直撃の2点二塁打が大きかった。もし1-0のままなら、戸郷に大きなプレッシャーがかかっていただろう。

 打線で良かったのは、大会前の実戦で16打席無安打だった山田哲人が途中出場で左前適時打を放ったこと。今回はスタメンにズラリと左打者が並んでいるだけに、右打者は全員の調子が上がってこないと苦しいと思っていた。間違いなく日本を倒そうとするライバル国は左投手をぶつけてくる。これで山田も日常に戻れるのではないか。

 問題は、4番かな。村上宗隆はまだ本調子からは程遠い。今後の日本の野球界を背負う村上にはぜひこの状況を打破してもらいたいが、栗山英樹監督がどこまで我慢できるか。大会直前の試合では吉田正尚が大谷の後の4番に入った。大谷の前を打つラーズ・ヌートバー、近藤健介は出塁も含めて素晴らしい働きをしている。「大谷の前後」がどう機能するかで、大谷とどれだけ勝負してくれるかが決まる。大谷が輝けば輝くほど、その前後が重要になる。

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