大谷理伸さん(右)、大谷望さん(撮影/小黒冴夏)
大谷理伸さん(右)、大谷望さん(撮影/小黒冴夏)

妻 大谷望[34]そよかぜ農園/イツモノ やさいセット出荷、米粉のお菓子屋

おおたに・のぞみ◆1989年、東京都出身。専門学校卒業後、渋谷のデザイナーズブランドショップで1年働く。22歳の誕生日に移住、就農。梱包などの出荷作業や顧客とのやり取り等を担当する。2021年、菓子の製作販売も開始

「あ、私ここに住むかも」が先だったんです。田植えのため、筑波山がよく見える近くのバス停に降り立ったとき。その後に彼と会って「この人、パートナーになるかも」と。恋愛感情というより、もっと確かな「この人と生きていく」みたいな直感でした。

 最初は合わなかったよね。食事も仕事も、彼は速くて私は遅くてペースが違い過ぎた。一番ストレスが激化したのは2人目が生まれた後。彼もその頃仕事でイライラしていて、私も育児と仕事で大変で、近くに頼れる人もいなかった。畑にも出られなくなり、でも彼はすごく働いているから罪悪感が湧くんですよ。それで1週間くらい家出をして。

 戻った辺りから彼がちょっと優しくなった(笑)。私も成長して人に甘えられるようになってきたし。今は彼が畑をやって、私は出荷担当に。彼が建ててくれた工房でお菓子をつくる時間が至福です。

 結婚して、子どもも生まれて、嬉しさも楽しさも倍増しました。いつもありがとう、これからも人生楽しもうね。

(構成・大塚玲子)

AERA 2023年3月13日号

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