毎年、この時期になると、私はソワソワしはじめる。親が子どもたちのためにクリスマスプレゼントを仕込む時期なのだ。
娘が保育園の頃が一番大変だった。多くの親御さんが同じ気持ちなのだろう、人気キャラクターの商品はネットでも実店舗でも続々品切れしてしまう。在庫を求めてネットの中を右往左往してへとへとになったことがある。大型店でやっと手に入れられた娘のための品。これにラッピングやシールを貼ってもらうために1時間並ばなくてはならない。さらに大型商品は家に隠しておくのもひと苦労なのだ。
しかし今年、娘も6年生になり、ついにクリスマスプレゼント選びに介入してくるようになった。もう市販のオモチャは子どもっぽいからいらない、と言い出したのだ。
「じゃあ何が欲しいの?」
と聞くと、
「メガネ!」
と言う。メガネなんてもうかけてるじゃないというと、どうしても赤いフチのメガネが欲しいのだという。女性シンガーの奥華子さんを見ていて、同じようなのをつけたくなったのだそうだ。メガネは9980円するという。
「わかったわ、サンタさんにお願いしておくわね」
と言うと、彼女は怒り出した。
「いいから早くメガネ屋さんに連れてって! 今から作らないとクリスマスに間に合わないから。サンタさんが本当はママだってこと、もうとっくにわかってるんだから」
彼女の言葉に少なからずショックを受けた。そうか、もう6年生。11歳にもなると、こういう思考回路になってしまうのか、と。
同時に親としていろいろなものが失われた気がした。私はもう、プレゼントを隠すドキドキや、クリスマスイブの深夜にそっと枕元に包みを置くスリルも、味わうことはないのだろう。なんだか少し淋しい。娘はいつのまにか、おませなティーンになりつつあるのだ。
ちなみに高校2年の息子にもクリスマスプレゼントの希望を聞いてみると「現金」と言われてしまった。
なんだか今年はずいぶん現実的なクリスマスになりそうだけど、せめて母親の私のところにくらい、サンタさんが来てくれないかしら……。