AERAでの連載をまとめた私の本「ソーシャルライフログ」が発売されて数日経った先日、12人の著者さんと合同で出版パーティーを開いた。
ミシュランの星を獲得した豪華なレストランで、食べたこともないような美味しいお料理が出てきてうれしかったけれど会場で皆さんに声をかけられたことが何よりも一番うれしかった。
まだ壇上でご挨拶もしていないうちから、何人もの人が、「AERAで連載していた本をください」と近づいてきてくれたのだ。驚くことに、本の販売ブースに辿り着く前に、私の手持ちは全部売れてしまった!こんなに興味を示してくれるかたがいるなんて、ありがたいことだと思う。
そして意外なことに今回の本で最も反響が大きかったのは息子の数学のエピソード だった。本を書いていた頃は81だったのだけど先日さらに上昇し、84と自己ベスト更新した。
今、私のところに次々と献本が到着している。お子さんを東大に入れたり、優秀児に育てたりという本たちだ。異端な育児本として私の本が認知されたらしいのは光栄だけど、うちの子はこれらの本に書かれているような優等生タイプではない。
いまだに人前で頭をかいたり、ぼうっとして話を聞いていなかったりと、人間としてダメなところがいっぱいある。クラスの皆を引っ張る委員長タイプでは決してない。だから周囲から「お子さんも東大にぜひ」と言われると腰がひけてしまう。なぜならば息子の父親、つまり私の別れたダンナは東大出だからだ。
世間は東大に入れることこそ最高の育児成果のように考えているようだけれど、私は東大を出ても女房子どもを殴る男を知っている。私も息子も東大を目標にはしていない。ただただ「数学力を活かして生きていくこと」を考えているだけだ。ときどき東大に入ったら燃え尽きてしまうお子さんがいるというけれど、それは東大がゴールで、その先の目標を考えていなかったからだと思う。
そもそも我が息子は数学の偏差値しかずば抜けていないので、東大は難しいだろう。 でもその代わり、数学という一芸を磨きに磨き、有意義な生涯を送れる人間に育てたい。それが私流の子育てだと思っている。