ついにiPhoneを買った。

 あまりの面白さにあっというまに夢中になり、気づいたら朝を迎えていた。徹夜でせっせとアプリをダウンロードし続けていたのだ。数えたらなんと一晩で120本も落としていた。
 ゲームやらお絵描きやら楽しい無料アプリが山のようにあり、やめられなかったのだ!iPhoneでは世界各国で作られたソフトウェアが8万本以上も配信されており、6割は無料版なのだという。

 私はケータイ小説を書いているということもあって、ダウンロードしたうちの数十本は、電子書籍関係のもの。iPhoneは液晶画面も大きいので、読書は快適だった。文字の伸縮も自在なのもありがたい。また新しい試みもしやすいという特徴がある。

 たとえば「子犬のソフィー」という無料絵本はスピーカーをタッチすれば、音声朗読が流れてくる。「わんわん」という吹き出しをタッチすれば、絵本の中の犬が鳴き声を出して8歳の娘は興味を持って何度も何度も押していた。

 活字の本では「音の出る絵本」は通常の本よりコストが高くついてしまう。けれどiPhoneアプリでは音をつけることは簡単だ。これからの電子機器での読書は、読書というより、一部のものはさらにエンタテインメント化するのかもしれない。

 たとえばだけど、マンガの登場人物であるイケメンをクリックすると「愛してるよ」などとマンガと同じセリフが聴こえてくるコミックがそろそろ出てきてもいい。コミックのラストにオマケとして登場人物が動くゲームソフトをつけることだってできる。

 実は私も今、iPhoneアプリの電子書籍を制作中だ。単なる読書ではなく、さまざまなことに連動し、小説の可能性は一気に広がったと私は感じている。もちろん今作っているのも、ただ読む「だけ」の小説ではない。

 実は今回のiPhoneはこの電子読書の試読と宣伝のために購入したのだけれど、渦巻くアプリで次々遊んでいるうちに、さらに新しい電子書籍のアイデアが3つも浮かんでしまった。
 このことをiPhoneのアプリ開発をしている知人に相談すると、全部を彼が手がけてくれるといい、話はあっというまに決まってしまった。あとは彼がアプリを作り、私が書くだけだ。
 作家は編集者だけでなくアプリ開発者とも手を組む時代が到来したのだな、とせっせと作品を作りながらそう考えている。