次に交換トレードで両チームともプラスになったのが2019年に巨人日本ハムの間で行われた吉川光夫、宇佐見真吾と鍵谷陽平、藤岡貴裕のケースである。吉川と藤岡は残念ながら目立った活躍ができなかったが、宇佐見と鍵谷の2人は大きな戦力となっている。宇佐見は移籍2年目に自己最多となる80試合に出場。昨年は二軍暮らしも長かったが、今年は開幕スタメンを勝ち取るとここまで捕手としてチームトップの55試合に出場するなど、一軍に欠かせない存在となっている。貴重な打てる捕手として今後も重宝される可能性が高い。一方の鍵谷も移籍1年目からブルペンの一角に定着。一昨年は46試合、昨年も59試合に登板し、二桁ホールドもマークしている。今年は開幕から出遅れ、成績を落としているが、後半戦の巻き返しに期待だ。

 一方のチームだけが大きなプラスとなった例としてはいずれも巨人と楽天の間で交換となった2020年の高梨雄平と高田萌生、池田駿とウィーラーの例が挙げられる。もちろん成功したのは高梨とウィーラーを獲得した巨人であることは明確だろう。高梨は移籍1年目となった2020年に44試合に登板して21ホールド、昨年も防御率こそ悪化したものの55試合に登板して20ホールド、そして今年もここまで11ホールドをマークするなど左の中継ぎとして貴重な存在となっている。ウィーラーも今年は外国人枠の都合もあって二軍暮らしとなっているが、一昨年、昨年は持ち味の長打力と勝負強さを発揮してチームの大きな得点源となっていた。一方、巨人から移籍した池田は既に引退し、高田も一軍の戦力になっていない。金銭トレードでは成功している楽天も、この交換トレードについては失敗だったと言わざるを得ないだろう。

 この2件では成功した巨人だが、ヤクルトとの間で昨年の開幕直前に成立した田口麗斗と広岡大志のトレードについては逆の立場となっている。広岡は昨年一軍で5本塁打を放ったものの、打率は1割台と課題の確実性が向上せず、今年も同じ状況が続いている。

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田口は移籍2年目の今季に飛躍