一方の田口は昨年、先発とリリーフ両方で起用されて5勝をマークすると、今年は勝ちパターンの中継ぎとしてここまで26試合に登板して15ホールド、防御率0.00と圧巻の成績を残しているのだ。ヤクルトの快進撃の立役者の1人とも言って良いだろう。リリーフ投手は長く活躍することが難しく、広岡も25歳と若いだけにこの後どうなるかはまだ分からないが、今年時点ではヤクルトが大きくプラスとなっていることは間違いない。
こうして見てみると、どこかの球団が圧倒的にプラスになっているというわけではないが、やはりトレードをきっかけに成績を上げた選手は確実に存在していることがよくわかる。オフには現役ドラフトも予定されているというが、7月末までにもまた球界全体、そして選手自身にとってプラスとなるようなトレードが行われることを期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。