7月10日に投開票が迫った参議院選挙。音楽業界の4団体が自民党公認で東京選挙区の元「おニャン子クラブ」の生稲晃子氏(54)と比例代表の元「SPEED」の今井絵理子氏(38)への支持を表明したことで、音楽業界から猛反発が起こった。
ことの起こりは6月末に東京・自民党本部で行われた今井氏と生稲氏の決起大会だった。そこに日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、日本音楽出版社協会、音楽業界4団体の代表らが訪れ激励した。その場で、日本音楽事業者協会の瀧藤雅朝会長は、今井氏と生稲氏に音楽業界と政治とのパイプ役になって欲しいと、期待を寄せた。
「日本のエンターテイメント自体、もっともっと政治の力をお借りしていかなければなりません。お2人は、10代から長きにわたり、活躍されてこられました、私たち現場の声を反映していただいて、太いパイプになっていただければ」
ところが音楽関係者らの反応は逆だった。SNSなどを通じて疑問の声が沸き起こったのだ。7月2日には、音楽業界関係者らがつくる有志団体「SaveOurSpace」の公式ウェブサイトで「音楽業界4団体による今井絵理子氏と生稲晃子氏の支持表明への抗議」と題する抗議声明を公表した。
抗議の発起人として名を連ねる政治学者の五野井郁夫さんは、こう話す。
「もちろん音楽業界には様々な政治的信条を持つ人がおり、政党や政治家を支持することも自由だし、声を上げることを妨げてはなりません。しかし、音楽業界において強大な影響力を持つ団体が、団体内の民主的な意志決定を無視して特定の候補者への『応援協力』の名のもとに実質的な支援を表明するのは、音楽業界で仕事をしている人たちへの事実上の『強制』になる点など問題があると感じ、抗議に至りました」
「SaveOurSpace」は、6日までの5日間で5000人を越える賛同人が集まったとしてその氏名を公式サイトで公開し注目を集めていた。ところが、この署名に偽名や成りすましがあったことが発覚し、「SaveOurSpace」が謝罪する事態も起こった。