香取慎吾さん
香取慎吾さん

え?なんで?いつもそんなこと言わないのに。

京都劇場のお客様が一斉に振り向いて僕を見る。そして、「奥様の大島さんと息子さんも来てくれてます」と。一斉に振り向いた人の顔で笑福はビビったのか、僕の背中に顔を隠す。

そして、お客様の拍手。

いや、正直言うと、めちゃくちゃ恥ずかしかったです。座りながら何度か頭を下げて会釈。

かなり心臓バクバクしましたが。

そこから再びステージが始まり、終演。香取慎吾君は最高のエンタメを届けて幕の中に消えていきました。

ステージが終わり、席を立ち、扉に向かうと、なんと。

僕らに向かってファンの方々が大きな拍手をしてくれました。

香取慎吾君とお仕事をして、26年になります。出会った頃、彼はまだ10代で。でも、「スマスマ」とか、「いいとも」とか、「天声慎吾」とか、「サタ★スマ」とか「スマステーション」とか。そして「ナナニー」とか「ワルイコアツマレ」とか。沢山の物を一緒に作らせていただきました。

スマステーションが終わって、楽屋に一人でいる香取慎吾君に「おつかれさま。本当に」というと、彼は「写真撮ろう」と言って、二人だけで僕のカメラで写真を撮りました。

今でもたまに見返しますが。未来に向かう香取慎吾君の顔がそこにはあります。

会場でファンの皆様の拍手に包まれ、26年間を思い出しました。そして今も、彼と彼らと一緒に新たな挑戦が出来ていることに感謝しました。

みんなの拍手が「ありがとう」と言ってくれてるような気がして。ファンの人たちだって。いや、ファンの人たちこそ色々な思いがありながらも一緒に歩んできたんですよね。香取慎吾君だけじゃない。ファンの人たちにも筋肉がついている。更に素敵で格好いいファンに進化している。

結婚してから、妻は僕が仕事をしながら、色々なことで悩んでいる姿を知っているし、子供を授かったことで、それに励まされたことも沢山沢山あった。

だからこそ、あの拍手が僕だけじゃなく、家族3人に向かっての拍手なのかなと。

拍手に包まれ、泣きそうになりましたが、ぐっとこらえて会場を出ました。

みなさん、ありがとうございます。

家族3人でいけて良かった。

笑福、最高のステージ見たな!

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。

著者プロフィールを見る
鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

鈴木おさむの記事一覧はこちら