「(大谷に限らず)全ての選手が『勝ちたい』と考えているが、全員がヤンキースやドジャースといった常勝チームと契約していない。彼らにとって、年俸や過ごしやすい環境であるかも重要となる。エンゼルスには資金もあるので、金銭問題で出ていかれるということはない。また、大谷は自分からはあまり話さないが、自分のやり方を認めてくれるエンゼルスを気に入っていると感じられる。もちろんエンゼルスは(勝てるチームにする為の)努力は必要だが、大谷とは(放出どころか)長期契約を結ぶチャンスも大いにある」

 このように、エンゼルスの地元メディアは現状を冷静に分析し、話題となっているトレードの噂を一蹴している。

 一方で、『ロサンゼルス・タイムズ』は、エンゼルスにトレードを進言するようなコラムを掲載している。もっとも、『ロサンゼルス・タイムズ』は、大谷の移籍先候補として何度も挙がっているロサンゼルス・ドジャースの地元紙であることから、『オレンジカウンティ・レジスター』とは異なる見解を持っているのも無理はない。つまり、現状はエンゼルスの純粋な地元紙『オレンジカウンティ・レジスター』以外のメディアが大谷のトレードをあおり立て、エンゼルスにプレッシャーをかけているような状況ともいえる。それだけ、他都市のメディアにとってみれば、大谷は魅力的かつ話題性のある選手なのだ。

  それにしても今年のオールスター戦での大谷は終始笑顔だった。球宴の和やかな雰囲気やMLBを代表するスター選手たちと共闘できたこともあるだろうが、何よりも本人を騒ぎ立てる周囲から一瞬でも離れられたのが大きいのではないだろうか。大谷にとっては珍しい牽制死となっても笑顔が絶えなかったのは、まさにそういった気持ちの表れだったのかもしれない。

  大谷の去就がどうなるかは、本人を含めまだ誰も知る由のないが、トレードの期限が来る8月までは現地メディアによる報道合戦も続いていくだろう。大谷のシーズン後半戦は22日から敵地アトランタで始まるが、メディアによる噂に動じず引き続き二刀流での活躍に期待したい。(澤良憲/YOSHINORI SAWA) 

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