なにより捕手が優秀なチームは強い、ヤクルトは中村悠平の進化がチーム力に直結し、ソフトバンクも育成入団から目覚ましい成長を遂げた甲斐が正捕手に座り黄金時代を築いた。そこで、注目されるのが阪神だ。05年以来リーグ優勝から遠ざかり、20、21年は2年連続2位に。17年ぶりのリーグ優勝を目指す今季は借金16を前半戦で完済したが、首位・ヤクルトに10ゲーム差と背中は遠い。

 投手陣は12球団屈指の安定感を誇るが、得点力不足がネックになっている。強打の捕手である森は大きな魅力だ。地元の関西出身で大阪桐蔭時代は藤浪晋太郎とバッテリーを組んで全国制覇を達成していることから、再びタッグを組むことを期待する阪神ファンは多い。一方で、SNS上では「森は必要かな…梅野隆太郎、坂本誠志郎、栄枝裕貴もいるし、むしろ右の強打で色々なポジションを守れる外崎修汰の方が補強ポイントに合致すると思う」の指摘が。今年7月に国内FA権を取得した西武・外崎の動向も注目されており、森と外崎が権利を行使した時に阪神はどのような決断を下すか。

 西武を取材するスポーツ紙記者は「森は新しい環境に自分から飛び込んでコミュニケーションを積極的に取るタイプではない。居心地の良い西武に長期契約で残留の可能性は十分にあると思います。パリーグで指名打者制があるのも大きい。故障などで捕手が厳しくなっても強打を生かせるし、選手寿命が伸びる。セリーグの人気球団に行って負けが込むようだと、捕手の責任で今の何倍もマスコミからたたかれますしね。FA移籍して幸せな野球人生なるとは限らない」と語る。

 西武は他球団にFA移籍する選手が多いが、中村剛也、栗山巧のように「西武一筋」で球界を代表する選手になった良きお手本もいる。FA移籍した選手たちも「西武の雰囲気は本当に良かった」と口をそろえる。ペナントレースの激闘を戦った末に、森が出す決断は――。(梅宮昌宗)

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