安倍晋三元首相が7月8日に奈良市で銃撃され死亡してから1カ月が経つ。政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が次々と明るみに出ており、派閥の後継問題にも影を落としそうだ。8月1日には安倍元首相の妻、昭恵さんが地元の山口県に行き、関係者へのあいさつにまわった。衆院補欠選挙も控えており、発言に注目が集まった。
「山口県で10月に安倍元首相の県民葬を検討しており、その話し合いもあって昭恵さんは地元を訪問されました。『まだ信じられなくて』と話されていましたが、気丈にあいさつし、お礼をされていました」
自民党の山口県議がそう打ち明けた。気になるのは、安倍元首相の後の議席を争う衆院山口4区の補欠選挙だが。
「安倍元首相の支援者、ファンとしては昭恵さんに、補選に出てほしいと期待していましたが、そんな話は一切ありませんでした。県議たちには『昭恵さんが出馬することはない』という情報だけは伝えられています」(前述の山口県議)
昭恵さんは、7月21日に自民党安倍派(清和政策研究会)の会合に出席した際にも「不出馬宣言」をしており、安倍派のある衆院議員は、
「昭恵さんが出馬しないことが確定的となり、安倍派は風雲急を告げていますよね」
と話した。
そこを、容赦なくリポートしたのが、安倍元首相、麻生太郎党副総裁とあわせて「3A」と呼ばれた、甘利明前幹事長だ。
自身のホームページにある7月20日の「国会リポート」で、安倍派についてこう記した。
「最大派閥の安倍派は『当面』というより『当分』集団指導制をとらざるを得ません。塩谷(立)、下村(博文)両会長代行に加え、西村(康稔)事務総長と世耕(弘成)参議院幹事長、閣内には要の官房長官たる松野(博一)さんと萩生田(光一)経産大臣が主要メンバーと言われますが、誰一人現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もなく、今後どう『化けて行く』のかが注視されます」
名指しで、「仕切る力もカリスマ性もない」とはっきり断じたのだ。