そうしてキキを預かったのですが、キキは究極の「ビビり」で、私のアパートに着くと食器棚の下に入り込みました。夜になると玄関前でずっと鳴いていたので、「路上の方が良かったのかな」と、胸が痛みました。
それでもとにかく距離をとりながら、お互いに観察し合っていました。キキはしばらくすると、食器棚の下からランニングマシンの下に移りました。触ろうとしていなくても、横を通る度に威嚇の「シャーシャー」をします。
そんな状態のキキだったので、私もキキファーストで生活するようになりました。あちこちに餌を数粒置いて、少しでもキキの行動範囲が広くなるようにしたり、物音に驚く状態だったので、大きな音を立てないように気を付けたり、来客の時はキキの隠れ場所に布をかけたり。
そうした日々の中、キキは少しずつ進歩していきました。隠れる時間や逃げる頻度が徐々に減って、ビビりながらも毎日懸命に生きている様子がいとおしくなり、私は預かってから1カ月後に、ボランティアの友人に「このままキキを引き取りたい」と連絡しました。
友人には「ずっと触れなくてもいいの?」と聞かれたのですが、キキを大事に幸せにしたい!と思ったのです。
■トトを迎えてにぎやか2匹に
トトとは、キキと出会ってから3カ月後の8月に会いました。生後6カ月くらいでした。
場所は引っ越し先のアパートの地下のゴミ捨て場なのですが、キキと正反対で、フレンドリーで究極の甘えん坊な子。茶白柄でキキと見た目が似ていて、(私と会う前の)キキの子猫時代はこんなだったのかなと、感じ入るものがありました。
1週間毎日ゴミ捨て場に通いましたが、母猫の気配はなく、駐車場内の一画にあるゴミ捨て場だったために、車の出入りも多く、保護を考えました。友人にも相談しましたが、保護団体に預かるキャパがないというので、「じゃあ私が」と決めたのです。
自分にとって初の捕獲でしたが、これは慎重にしました。アフリカは日本と違って狂犬病発症国が多いのです。最初に赴任したマダガスカルで猿になめられた人が、狂犬病の注射を3回も打っていたんです。それを見ていたので、トトが驚いて暴れてかまれたりしないように、キャリーケースに餌を入れて捕まえました。扉を閉じた瞬間からトトは驚いてずっと鳴き叫んでいましたが、アパートに連れてきてキャリーの扉を開けた数分後には、私にスリスリ。