大阪市教育委員会によれば、

「20年ほど前に、市の財政を改善するための無駄の見直しがありました。必要性がない施設などの処分を検討する委員会が設置され、阪南パラドームも対象となりました。あまり利用がなかったからと推測されます。それを一般競争入札に付したところ、民間企業が落札し、そのまま売却となりました」

 と説明する。

 つまり、ぜいたくな施設で職員厚遇といった批判を受け、2006年に廃止。その後、一般競争入札の流れになった。

 大阪市の資料や不動産登記などによれば、08年3月に7億5千万円でY社に売られた。阪南パラドームの総工費は約20億円と大阪市議会には出ており、半額以下での売却だった。その4カ月後には賃貸で旧統一教会が入居、11年に旧統一教会へ売却されている。

 Y社の商業登記を確認すると、目的欄には毛皮、宝石、インテリア、呉服、絵画の販売と記されている。

 前出の地元住民の記憶では、当初はY社の看板がかかっていたという。

「会社なのに、社員らしい人はまばら。日曜日になると大勢の人がやってくる。貼りだされたポスターなどから、旧統一教会ではないかとうわさになったのです。気がつくと、Y社が旧統一教会に貸していた」

 全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士は、Y社の商業登記を見ながら、

「Y社は旧統一教会のダミー会社の疑いが極めて濃い。登記の役員欄から旧統一教会の信者、関係者である人物が何人も入っています」

 と指摘する。加納弁護士が、そのことを示す書類を見せてくれた。

 霊感商法で信者からペンダントを58万円で買わされたという被害者の代理人として、被害額を取り戻すための交渉をした際、返済するのは旧統一教会ではなく、信者のA氏が社長を務める会社がすることで合意。書類にサインした会社のA社長は、Y社の商業登記でも役員となっていた。

 当時、施設の周辺住民から、退去を求める陳情書が市議会に提出されており、議会でもこの件について、旧統一教会と関係のある会社に市有財産を売却するのは問題ではないかと、論議されたことがある。

閑静な住宅街にある世界平和統一家庭連合 大阪家庭教会
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市有財産を売却するならもっと厳しくチェックすべき