●高橋ナオト(元日本バンタム、スーパーバンタム級王者)

~表裏一体のカウンターにこだわったボクサー


「カウンターで倒していた印象が強い。最近はコンビネーションで戦う選手が増えているので、そういう意味では少し前のスタイルとも言えるかもしれません。カウンターで戦う選手には技術と勇気が必要です。相手のパンチに合わせて自分も打っていく。少しでもタイミングがズレれば自分に当たってしまいます。確固たる技術と勇敢な心を兼ね備えた選手。逆に完璧に倒された試合もありました。漫画『はじめの一歩』に登場する宮田一郎のモデルとしても有名です」


●島袋忠(元日本バンタム級王者)

~井上尚弥と同等の閃きを持った天才


「高橋とのライバル対決が印象的。カウンターを打ち破って完璧に倒した試合は、天才的なセンスを感じさせました。スキルがあって冒険はしない選手でしたが、試合中の一瞬の閃きは素晴らしかった。リック吉村(元日本ジュニアウェルター、ライト級王座)を輩出した石川ジム所属でしたが、『素質は上』と関係者が語っていました。練習熱心ではなかったが、時折見せる輝きは抜けていた。天然というか独特の人生観を持っているようなボクサー。ストイックさがあれば世界を狙えたと思います」


●飯泉健二(元IBFアジアライト級王者※公認前)

~冷静に試合を運び相手を倒すサウスポー


「クールで冷徹、野武士のような倒し屋。感情を出すことなく派手に倒すので人気が高かった。玄人受けする選手でした。また杉谷満(元日本フェザー級王者)というライバルがいたのも大きかった。『ハードパンチャーでテクニックもある杉谷とどちらが強いのか?』という部分で盛り上がった。2人の対戦は、後楽園ホールが立錐の余地がないほどになって異様な雰囲気でした。故障に苦しんだ選手で網膜剥離を発症し、引退勧告されました。プロを続けていれば世界を狙えた選手でしたね」

*  *  *

 今回は4人のボクサーを挙げた安河内氏だが、人を魅了するボクサーに共通点とは何か。

「名選手を作り上げるのはライバルの存在。負けられない相手がいることがモチベーションを何よりも高めてくれますし、試合会場を熱くします。国内での日本人同士の対戦に注目すると、ボクシングがもっと面白く感じるはずです」

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