放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、夫婦の距離感について。
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NHK「ふたりのディスタンス」という番組があります。気になる「ふたり」に密着して、そのふたりならではの「距離」を見つめる番組。コロナ禍でも撮影できる。コロナ禍だからこそ、その距離感がおもしろくなる番組。僕は視聴者として見ているだけなのだが。
過去3回放送されていて、今回が4回目。なんと今回は爆笑問題の太田光さんと、妻の光代さん。夫婦でありながらタレントと社長という関係でもある二人。僕も自分が構成している番組で何度か夫婦の物語を取り上げさせていただいた。
この夫婦にしかない空気感。そして、ピンチをチャンスとして切り抜けてきた物語が僕は大好きだ。そんな二人の距離感はどんなものなのだろうと興味深く見た。
なんと結婚32年目だそうです。僕と妻は20年目なので、夫婦としても大先輩になります。
光さんの印象。普段は寡黙。
で、家の中での二人を撮影していたが、リビングで光代さんが話しているときに、光さんはずっと自分の部屋。まるで家にいないみたいに。それが日常だと言っていた。想像は出来たが想像以上の個人プレー。だけど、仲が悪い感じもしないし、なんだか愛しさはあって、それがこの二人の距離感なのかなと感じる。
番組内で、二人は10年ぶりの夫婦旅行に出かける。熱海の温泉宿でカメラは意識させない距離で撮影。
近くのビーチを歩く時に、先に歩く光さんを追いかけて、光代さんが腕を組む。これが日常かもしれないし、テレビカメラがあるから、意識したのかもしれないが、逆に言うと、カメラがいたことを利用したのかもしれないとも思った。こういう風でいたいと。
光代さんが言っていた言葉で胸に刺さった言葉がある。「空気みたいになりたくない」と。夫婦は年を重ねて空気みたいな存在になっていくのが理想とされているところもあったと思う。だけど光代さんは、そういう風になりたくないと。だからかき回すところもあると。僕は結婚して20年。たしかに意識しないと空気みたいになる瞬間って結構ある。