■3・11がきっかけ

 前原さん、中島さんしかり、こうした災害現場で活躍する人の多くは、東日本大震災をきっかけにこの世界に入ってきた。こんな例もある。

 萬代好伸さんは重機を使った支援活動の「プロ」だ。災害支援団体オープンジャパンのスタッフとして、今は静岡県川根本町で被災家屋に流れ込んだ土砂の排出などを担っている。大量の土砂が流れ込んだ家屋は再生が難しい場合もある。それでも萬代さんは言う。

「土砂がきれいになくなれば、『やっぱり、再生しよう』と思えるかもしれない。最終的に解体するとしても、その選択肢を残してあげることが必要です。それに、土砂のなかには、大切な家財も埋まっています。それを取り出してお返しできれば、つらい被災の中でも少しの救いになるかもしれません」

 萬代さんは宮城県石巻市出身。東日本大震災で被災したことが、この世界に入ったきっかけだ。家族は無事だったが自宅は被災、勤務先は3月末で解雇された。

 その後、復興活動の過程でメルセデスベンツの多目的作業車が石巻に届くことになり、石巻災害復興支援協議会から運転を依頼された。その打ち合わせでボランティアのテント村を訪れたとき、「衝撃を受けた」という。

「私自身は被害が少なかった地域で避難生活を送っていて、ボランティアさんの姿を見ていなかった。でもテント村では、すごい数のボランティアさんがテント泊や車中泊をしていました。中でも多かったのが神戸ナンバーの車です。かつての被災地から、そして全国各地からこうして来てくれているんだと感動して、鳥肌が立ちました」

■収入得る仕組みを

 作業車を運転する傍ら、11年9月には紀伊水害の被災地にボランティアに赴(おもむ)いた。「石巻を代表して行ってきてほしい」と送り出されたという。那智勝浦で「石巻──」と書かれたビブスを着て活動していると、何度も泣きながら感謝された。萬代さんが神戸から来たボランティアの姿に感動したように、萬代さんの姿を見て勇気づけられる人が大勢いたのだ。

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