「『自分の1番の役目は試合が終わった後に、選手を家族のもとに帰すこと』。名トレーナーとして知られるエディ・タウンゼントさんの言葉。ボクシングに携わる者として最も大事なことです。それができなかった時は、我々の責任です。忘れないようにしています」
どのようなスポーツ、競技も危険性はゼロではない。しかしボクシングほど「死」と隣り合わせのものはない。安全性の担保が最大の仕事である安河内氏は、胸に抱く複雑な思いを率直に語ってくれた。(文中の敬称略、タイトルは当時)
(文・山岡則夫)
●安河内剛/1961年4月3日、福岡県出身。ボクシング審判員、日本ボクシングコミッション (JBC) 元事務局員。早稲田大在学中にプロボクシングC級ライセンス取得。1994年JBC職員となり国際部長、事務局次長、事務局長を歴任。