腸を空にするために、やむなくかん腸を使用することもあります。子どもの恐怖感が強い場合は、全身麻酔をかけて「摘便(手を使って肛門から便を取り除くこと)」をすることもあると、友政医師は言います。
「麻酔と聞くと驚かれるかもしれません。しかし肛門に何かされるということは、小さな子どもにとってものすごい恐怖で、診療室でも便秘の子どもは泣きわめいて逃げ回ることが多いです。全身麻酔を使った摘便は、こうしたお子さんに苦痛を与えずに処置する治療なのです」
摘便が必要なほど進んでしまった便秘では、子どもは便が腸にたまることになれてしまっていて、便意を感じないことが普通になっています。薬で治療を開始しても、治るまでには長い時間がかかるため、やはり「早期治療」が大事なのです。
■再発を防ぐためにも、薬は治るまで服用を
「治療は焦らず、ゆっくりと。子どもが怖がらず、自発的に便を出せるようになるまで、薬を飲み続けることが大切です。薬に頼るのは抵抗があるからと早くやめてしまうと、再発する可能性が高くなります。きちんと服用しながら、脱水に注意するなどの生活療法を継続すれば、最終的には半数のお子さんは、薬を飲まなくてもよくなります」
体質的に便秘になりやすい子どもは、薬をゼロにするのではなく、少量を飲み続けて快便を維持できるようになることが、治療の目標になります。体質が便秘に関係しているかどうかは、治療経過をみているうちにわかるそうです。
■よくならないなら子どもの便秘の専門家へ
「便をやわらかくする薬は腸だけに作用するもので、副作用の心配は基本的にありません。2~3歳のうちに便秘の治療を開始しておけば、学童期や中高生で重症の便秘になることは少なくなります。将来の便秘予防という観点からも、このタイミングでの治療には、大きなメリットがあります」
子どもの便秘は小児科医を中心に、一般の内科でも診てもらうことができます。ただし、なかなかよくならない場合は、子どもの便秘の専門家に相談を。子どものトイレ・衛生教育などに取り組む「日本トイレ研究所」のホームページでは、子どもの便秘の相談・治療を受け入れている病院と医師名を掲載しているので、受診の際の参考になるでしょう。
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(取材・文/狩生聖子)