令和初、そして史上最年少の三冠王誕生なるか──。ヤクルトの若き四番・村上宗隆に大きな期待が寄せられている。現在、打率.329、45本塁打、111打点はすべてセ・リーグトップ。ヤクルトのレギュラーシーズンは残り31試合で、このまま3部門ともトップでゴールテープを切る可能性は大いにある。
プロ野球史上、これまで三冠王を獲得したのは1リーグ時代の中島治康(1938年秋、巨人)を筆頭に野村克也(1965年、南海=現在のソフトバンク)、王貞治(1973、74年、巨人)、落合博満(1982、85、86年、ロッテ)、ブーマー(1984年、阪急)、ランディ・バース(1985、86年、阪神)、松中信彦(2004年、ダイエー=現在のソフトバンク)のわずか7名。このうち最年少は、1982年に28歳で初のトリプルクラウンに輝いた落合である。
つまり22歳の村上が今年、打率、本塁打、打点のすべてでタイトルを手にすれば、落合の記録を大幅に塗り替え、NPB史上最年少の三冠王誕生ということになる。昨年の村上は打率.278、39本塁打、112打点で、この3部門でのタイトルは本塁打王(巨人・岡本和真とタイ)だけだったが、打点は岡本とわずか1点差。打率だけがリーグ14位とタイトルにはほど遠かった。その打率に関して、村上は今シーズンを迎えるにあたってこんな話をしている。
「去年は7月かその辺で、月間打率1割7分ぐらいだったんで、その時にもうちょっと打っておけば去年も3割近く打てたと思います。去年は波がちょっと激しい時があったので、何とか調子悪い時でも2割7分だったり2割5分だったり、それぐらいの成績で行ければ3割は打てると思うので」
確かに昨年の村上は、7月に月間打率.178と苦しんでシーズン打率を.258まで落とし、その後は3割に届くことはなかった。今年も5月にやや苦しんだものの、それでも月間打率は.244。6月に打率.410と打ちまくってシーズンの打率を3割に乗せると、8月9日以降は3割2分以上のハイアベレージをキープしている。20日の中日戦(バンテリンドーム)では3安打で打率を.329まで上げ、ついにセ・リーグの首位打者に躍り出た。