■川合俊一や大林素子にはならない!?

 インタビューでこう語っているように、引退後はバレーボールとは少し距離を置いているようだ。スポーツライターはこう話す。

「後輩育成に携わってほしいという周囲の声に対しては、『自分のできることとできないこと、やりたいこと。そういうのをちゃんと見極めなきゃって思うんです』と、スポーツ誌のインタビューで明かしています。バレーボールを頑張っている選手たちがいて、そこに憧れる子供たちがいる中、解説などで自分がうまくしゃべれないせいで、バレーボール界が変だと思われたくないという気持ちがあるそうです。一方、先日、カフェの売り上げを銀行へ持って行く途中、公園でバレーボールのパス練習をする小学生の姉妹がいて、パスが1~2回続けばいいほうというレベル。そこで『パスが50回続くまでやろうよ』と、一緒にパスを練習したというエピソードも披露していて、バレーボールに対する愛は今も感じられます」

 あえてコーチや解説者にならないのは、彼女の“性格”によるところもあるのかもしれない。

「自分は大した活躍もできず、他の選手がすごく活躍して勝った試合なのに、翌日の新聞には『木村沙織、大活躍』と書いてあり、それにはいつも疑問を感じていたとインタビューで話していました。セッターの配分やリベロのレシーブが重なって挙げた得点なのに、なぜ最後に点を取るスパイカーだけしか取り上げられないんだろう、と思っていたそうです。性格の良さがうかがえるエピソードですが、バレーボールにコーチや解説者としてしっかり携わるとしたら、人のプレーを批評しなくてはならない。その場合、木村の優しさがアダとなる可能性もあります。なので、好きなことをやりながら、現在の絶妙な距離感でバレーボールと関わるのが、幸せなのかもしれません」(同)

 TVウオッチャーの中村裕一氏は、彼女の魅力と今後についてこう語る。

「元バレーボール選手で活躍したタレントといえば、川合俊一や大林素子が挙げられます。アスリートということでクリーンな印象があるし、バレーボールというスポーツが持つひたむきなイメージから視聴者の好感度も高く、彼女も同じようにタレントとしての需要は大いにあると思います。昔は引退すると指導者になるか解説者になるしか選択肢がなかったと思いますが、今はインフルエンサーや経営者など、選択肢はたくさんあります。これまでの彼女を見る限り、あまり前に出る性格ではないと思うので、現在のようなポジションの方が自分らしく過ごせるのではないでしょうか。ただ、個人的には髪を伸ばした今、現役時代のイメージとのギャップが魅力的なので、バラエティー番組や旅番組など積極的に出演して“素”の姿を見せてほしいです」

 カフェ経営という夢を実現しながらセカンドキャリアを歩む木村。後輩たちへの良いお手本にもなりそうだ。(丸山ひろし)

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