放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん
この記事の写真をすべて見る

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、「うんこドリル」と達成感について。

公正取引委員会とうんこドリルのコラボ「競争のルール」

*  *  *

 ご存知「うんこドリルシリーズ」。初めてこの本がヒットしたのを知った時は単純に「いい企画だな」と思ったし、作り手としての嫉妬もあった。当時自分が構成していた番組でも紹介させていただいた。

 ただ、その時は企画ものだと思っていた。どういうことかっていうと、最初は子供もおもしろがるし、大人も面白がるけど、長続きしないだろうって思ってた。「一発屋」的な存在。

 だけど、気づくと色んなシリーズが出ていて、「うんこドリルシリーズ」の発行部数は累計約950万部というじゃないですか。

 これってもう一発屋じゃない。定番になったのです。ミュージシャンで言えば、サザンや山下達郎、ミスチル、B‘Zになったのです。

 何がそんなにすごいのか。ぺらぺらとめくっても、例文がおもしろいのはわかるけど、そのすごさがイマイチわからなかった。

 が、息子の笑福が今年小学1年生になり、この「うんこドリルシリーズ」の凄さに感動している。

 このコラムでも書いたが、笑福は小学校に上がるまで平仮名を勉強してこなかった。なので、学校に行きはじめて、平仮名を覚え始めたものの、なかなか覚えられず、平仮名に対しての苦手意識が出てしまったのは事実。

 そこで、「うんこドリル」である。平仮名を覚える「うんこドリル」は、「おもしろそうだから」と少しやる気になってくれる。やはり勉強はおもしろくないものという概念を、「うんこ」というものによって「おもしろそう」と思わせてしまうのがすごい。

 うんこドリルだったら少しやる気になってくれる。いざやってみると、何かと「うんこ」と書いてあるものの、肝心な部分は通常のドリルと変わらない。結果、学べることは変わらないのだ。

次のページ
「うんこドリル」を読んだ先にはちょっと笑いがある