今秋のドラフト1位指名で複数球団による競合が必至なのが、高松商の強打者・浅野翔吾だ。
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その名を全国に轟かせたのが今夏の甲子園だった。1回戦の佐久長聖戦で2打席連続アーチを放つと、準々決勝・近江戦でプロ注目の右腕・山田陽翔を凌駕した。初回に外角のスライダーを引っ張って左翼線二塁打、3回1死一塁は146キロの直球を弾丸ライナーでバックスクリーンへ放り込む2ラン。5回の3打席目も低めのツーシームを左前打と全ての球種を捉えた。試合には敗れたが大会通算10打数7安打、3本塁打をマーク。ミート能力、パワーと高校生離れした打撃で50メートル走5秒9と足も速い。
セリーグのスカウトは、「今年のドラフトの目玉。右の強打者は希少価値がある。どの球団も1位で欲しいでしょう」と称賛した上でこう分析する。
「中学時代から有名でしたが、高松商に入学してからの3年間で一気に伸びた。甲子園で活躍したスター選手がプロで伸び悩むケースが少なくないが、浅野には当てはまらないと思います。下半身の力をバットに伝える打ち方なので。金属から木製バットに代わっても対応できるでしょう。タイプ的には牧秀悟(DeNA)に近いかな。生粋のホームランバッターというより、広角に安打を打ち分けて本塁打も打てるタイプ。打率3割、30本塁打を何年も続け、球界を代表する選手になる可能性を秘めている」
ヤクルト・山田哲人、村上宗隆、巨人・岡本和真、坂本勇人ら高卒で入団した選手は、活躍すれば長期間で主力として計算できる。外すリスクも承知の上で、高卒のスラッガーが毎年のように複数球団で競合するのは必然と言える。一方で、才能を伸ばす環境も大事だ。西武は清原和博、松井稼頭央(西武1軍ヘッドコーチ)、中村剛也、森友哉など高卒の強打者を育てる能力が高い。ヤクルトも池山隆寛(現ヤクルト2軍監督)、岩村明憲(現独立リーグ・福島レッドホープス監督)、川端慎吾、山田、村上と高卒の強打者を輩出している。