DeNAは入江大生だろう。中継ぎ投手として10ホールドポイント。作新学院高時代は打者としても甲子園で早川隆久(楽天)から本塁打を放つなど、エース・今井達也(西武)とともに全国制覇の原動力となった。大学で投手に専念し、プロでも力を発揮してきた。

 パ・リーグは1999年以降、新人王22人中20人が投手だ。結果としてパ・リーグは即戦力野手の活躍が難しい土壌であるといえる。本格派投手が多いからだろうか。そして今季はどうなのか。ドラフトで4球団が競合した西武の隅田知一郎が3月26日のオリックス戦で7回無失点、初登板初勝利の衝撃デビュー。当初は大本命と目されていたが、その後は勝ち星に恵まれず、1勝8敗。新人王争いは本命不在の混戦模様となった。

 昨年リーグ優勝のオリックスは、山本由伸、宮城大弥、山岡泰輔、田嶋大樹、山崎福也と先発陣が充実している。そんななか、椋木蓮は7月7日の西武戦に6回無失点で初登板初勝利。登板2試合目の日本ハム戦で九回2死までノーヒットノーランに抑えて脚光を浴びたが、その2勝でストップしている。ロッテは松川虎生が2リーグ制以降史上3人目の「高校出新人捕手開幕スタメン」を果たした。最速164キロのストレートと150キロ近いフォークボールの佐々木を好リードして、完全試合をアシストした。ほかにも石川歩や美馬学のベテランとバッテリーを組む。オールスターにも出場した。ただ、57試合で24安打、打率1割7分5厘と打撃に課題は残る。

 楽天は安田悠馬が同じく「新人捕手開幕スタメン」を果たしたが、その後は人さし指を故障して戦線離脱。結局3試合の出場にとどまっている。ソフトバンクはコロナ禍で中心選手の離脱が多かったこともあり、新戦力の台頭も目立った。大関友久は、育成出身から今季6勝を挙げ、オールスターにも出場。一躍スターダムにのし上がるかと思われた。しかし、精巣の腫瘍摘出手術を受けることになって療養中だ。「ギーマ」こと柳町達は89試合0本塁打ながら79安打、打率2割8分1厘。一方、野村勇は、思い切りのいいスイングで1939年の鶴岡一人以来、83年ぶりの球団新人10本塁打。ヒーローインタビューでの「いさみちゃんピース」は話題を呼んだ。内野はどこでも守れるユーティリティープレーヤーだ。“子連れルーキー”でもある。

 日本ハムでは開幕投手に抜擢された北山亘基か。新人の開幕投手は2リーグ制以降史上14人目の栄誉だった。その後は中継ぎで登板し、47試合で3勝8セーブをマークしている。西武は水上由伸だろう。大学時代は首位打者を獲得した外野手でもあった。今季リーグトップの32ホールドポイントでタイトルも狙える。7月の月間MVPも受賞。西武は2018、19年のリーグ優勝時に「チーム打率トップ、チーム防御率最下位」だったが、今季は一転、チーム防御率1位とチームカラーを大変革している。その試合中盤を支える存在だ。

 パ・リーグは優勝争い自体が混戦模様だけに、どれだけ優勝に貢献できたかも新人王争いの重要なポイントになりそうだ。(新條雅紀)

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